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主要な病害虫等

緑化樹病害虫の中で特に防除の要望が高い“ケムシ類”について、その生態や防除法等を記載します。緑化樹を加害する病害虫のほとんどは人体に対して危害を及ぼすことありませんが、一部には“危害な害虫”もあり、そのような害虫こそ防除の要望が高くなっています。

● アメリカシロヒトリ
[人への害等:無 (刺されたり、かぶれたりすることは無いとされています)]

分  布

本州・四国・九州

発生時期等

年2回(一部3回)発生します。樹幹の割れ目や樹皮下などで蛹化して越冬し、5~6月と7~8月に成虫が発生し、葉裏に産卵します。幼虫は5~7月と8~9月に出現し、中齢期まで葉を糸で覆って巣を作って集団で生活し、葉脈を残して葉肉を食べます。4齢以降は分散して葉を食べます。

寄生植物

プラタナス(スズカケノキ類),トウカエデ,サクラ,ミズキ,クワ等

予察方法

アメリカシロヒトリの防除は若齢幼虫時の防除がもっとも効果的であるため、発生時期の的確な把握が、重要となります。このため、フェロモントラップを活用して成虫の発生時期を把握し、そこから予想される幼虫発生時期に重点的な発生状況の見回りや防除を実施します。なお、トラップに捕殺数がピークになった2~3週間後が防除適期です。

防除方法

発生時期に頻繁に樹木を見回り、発生初期の幼虫が群をなしているうちに枝ごと切り取り、踏みつぶす方法が最も効果的です。この時期を過ぎると幼虫が樹木全体に広がってしまいます。散布剤として農薬登録がある薬剤もあります。また、フェロモン剤とトラップによる雄成虫の誘引・捕獲により、次世代のアメリカシロヒトリの幼虫被害を低減させる方法もあります。(幼虫に対して殺虫効果はありません)
常発地帯では、毎年発生が予想される樹には発生前に「アトラック液剤」を樹幹注入し予防する方法も有効です。

若齢幼虫:孵化直後の状態

若齢幼虫:若齢幼虫は、吐いた糸の上で生活し葉を食害する。(分散前)

 

成熟幼虫:体長約30mm


● チャドクガ
[人への害等:有]

分  布

本州・四国・九州

発生時期等

年2回発生します。卵で越冬します。1回目の発生時には、4月中旬頃孵化し、若齢幼虫は糸を吐いて頭部をそろえて群生し、成熟すると分散して葉縁から食害します。6月中旬から下旬に成熟し、根際などに降りて蛹化します。繭は褐色で薄く、体毛を混ぜて作られています。第2回目の幼虫の発生は、8月下旬から10 月中旬までです。

寄生植物

ツバキ・サザンカ・ヤブツバキ・チャ等のツバキ科

人への害等

毒のある体毛は非常に脱落しやすくふれると激しいかゆみを覚え発疹し、場合によっては1週間以上、激しいかゆみに悩まされます。この毒毛は幼虫のみではなく、成虫、卵塊、繭にも付着しています。

防除方法

管理が容易な場所では、冬季に葉裏の卵塊を探して除去することも可能です。また、幼虫がまだ小さいうちであればビニール袋で覆って、枝や葉を切り取って袋に入れて処分するのも効果的な防除法です。駆除は風のないときを選び、毒針毛が直接皮膚に触れないようにして行う必要があります。また、集団に対して農薬をスポット的に散布することも可能です。幼虫が大きくなると集団が幾つにも分かれ、被害が樹全体に及び、物理的な除去は毒針毛等が人へ付着し危険です。ツバキ及びサザンカには散布剤として農薬登録がある薬剤もあります。

幼虫:集団で加害をする。


● ドクガ
[人への害等:有]

分  布

北海道・本州・四国・九州

発生時期等

年1回発生し、成虫は6~7月頃出現して葉裏に卵塊を生みつけ、間もなく幼虫が孵化します。幼虫の発育は遅く、集団で生活し、脱皮を繰り返して11 月頃までに 10 齢内外の中齢幼虫になって、落葉の下などで集団で越冬します。翌春の新芽のころに活動を再開し、集団で葉を摂食して、さらに13~17齢になって成熟してから集団生活を解消してばらばらで生活するようになります。被害はこの5~6月頃に最も問題となります。

寄生植物

サクラ・バラ・キイチゴ等のバラ科,コナラ,カキなど幅広く加害

人への害等

チャドクガと同様。

防除方法

チャドクガに準じますが、年1回発生であること、幼虫で越冬することから幼虫の発生時期が違うことに注意を要します。


● イラガ
[人への害等:有]

分  布

全国

発生時期等

通常年1回の発生ですが2回発生することもあります。幼虫は7~8月から10月頃にわたって見られます。木の幹や枝に暗白色に褐色の縞模様のあるマユが見られ、この状態で越冬します。

寄生植物

カキ,サクラ,ウメ,アンズ,ケヤキ,カエデ類,ヤナギ類,クリ,クルミ,ザクロ等広い範囲

人への害等

幼虫には多くのトゲを持った肉質の突起があり、このトゲは中空で体内の毒腺につながっていて、刺すと同時に相手に毒液を注入し激痛を与えます。

防除方法

ドクガのように、若齢幼虫が集団で発生する習性はありません。冬期にマユを確認した場合は掻き取ります。カキには散布剤として農薬登録がある薬剤もあります。


成熟幼虫:体長約25mm


● クロシタアオイラガ
[人への害等:有]
分布や寄生植物はほとんどイラガと同じです。ただし、年2回発生し、幼虫は6~7月と8~9月に見られます。


● ヒロヘリアオイラガ
[人への害等:有]

分  布

本州・九州・沖縄

発生時期等

年2回発生します。幼虫は6~9月頃にわたって見られます。卵塊で産卵し、若齢幼虫期は集合して加害します。木の幹や枝にやわらかい楕円形のマユを作って蛹化します。

寄生植物

サクラ,カエデ,カキなどの広葉樹に広く発生

人への害等

多くのトゲを持っており、触れると痛みがありかぶれます。

防除方法

幼虫が集合して加害している場合は、寄生部分の剪定など物理的な防除が有効です。冬期にマユを確認した場合は掻き取ります。

若齢幼虫期は集合して食害する

若齢幼虫期は集合して食害する

 

繭殻と成熟幼虫:背部中央に青い筋がある

 

 


●マツカレハ
[人への害等:有]

分  布

全国

発生時期等

幼虫は10 月下旬頃より樹幹を降り根際などに潜伏して越冬し、4月頃から再び活動を始め、6月上旬より成熟して蛹化します。成虫の出現は、6~10月ですが、7~8月が最盛期です。発生は通常年1回。若齢幼虫で越冬します。

寄生植物

アカマツ・クロマツ・チョウセンマツなどマツ属,カラマツ

人への害等

幼虫は成長すると背面は銀色に光り、胸部の背面には藍黒色の毛束の帯が目立ち、触れるとこの部分の黒い毒針毛が皮膚に刺さります。毒性はドクガほど強くありませんが、刺されると激痛があり、あとが腫れ上がります。

防除方法

冬に幼虫が根際などの狭いところにもぐりこんで越冬する習性を利用して、マツの幹にワラで作ったこもを巻き、越冬のため移動中の幼虫を呼び寄せて、翌年の春にワラごと焼却するのが一般的です。
毎年発生が予想される樹には発生前に「アトラック液剤」を樹幹注入し予防する方法も有効です。

幼虫:成熟幼虫では体長約70mm


●モンクロシャチホコ
[人への害等:無 (刺されたり、かぶれたりすることは無いとされています)]

分  布

全国

発生時期等

年1回発生します。幼虫は8~10 月頃に見られ、はじめ紅褐色ですが、成長するにつれ紫黒色になり、白い毛が目立つようになります。葉裏に卵塊で産卵し、3齢幼虫までは集団で葉を食害しますが、その後分散します。大発生すると葉を暴食し、樹下に大量のフンが落ちます。落葉中や土中の浅いところで蛹化しそのまま越冬します。

寄生植物

サクラ類・ナシ・ウメ・モモ・リンゴ・スモモ等バラ科

予察方法

同じ場所で発生する傾向があるため、以前に被害が発生した場所の木を7月下旬~8月下旬に見回ります。

防除方法

分散前の幼虫を枝ごと切り取ります。サクラには散布剤として農薬登録がある薬剤もあります。

若齢幼虫:体色は灰黒色で長い毛がある

成熟幼虫:体長は約50mm

幼虫による糞害

幼虫による食害

【参考資料】

・公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル~農薬飛散によるリスク軽減に向けて~
 (平成22年5月:環境省 水・大気環境局 土壌環境課農薬環境管理質)

・緑化木の病害虫 見分け方と防除薬剤<第3版> (社団法人 林業薬剤協会)

・樹木診断の手引き (平成20年3月 宮崎県林業技術センター 讃井孝義)