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松くい虫とは

「マツ」の伝染病のことで、正式な病名を「マツ材線虫病」と呼び、現在、北海道を除く全国に広まって各地で大きな被害をもたらしています。
松くい虫被害は、「マツノザイセンチュウ」という体長1mmにも満たない線虫がマツの樹体内に入ることで引き起こされますが、その線虫をマツからマツへ運ぶのが「マツノマダラカミキリ」というカミキリ虫です。
マツ材線虫病に感染したマツは水分が通らなくなり、いわゆる委凋症状となって枯死に至ります。外観的には夏から秋にかけて初期には緑色の旧葉が退色して黄色になり、その後最終的には全ての葉が赤くなります。
全国的な松くい虫による被害量は、昭和54年度の243万m3をピークに、平成20年度には約63万m3となっています。これは各地の被害対策の強化等により減少傾向となっているものと考えられます。
しかし、地方や県または地域ごとでは被害が拡大している場所も数多くあり、今後も継続して徹底した防除対策が必要とされています。

マツ材線虫病により枯死したマツ 被害が広がった森林
※林野庁ホームページから転載

松枯れの仕組み

図.マツノマダラカミキリの生活環とマツ材線虫病の発生機構

正常
(樹脂が流出しているマツ)
異常
(マツノザイセンチュウに感染し樹脂の流出が停止したマツ)

●マツノザイセンチュウ
和名: マツノザイセンチュウ
学名: Bursaphelenchus xylophilus (Steiner et Buhrer) Nickle
形態: 線形 体長約1mm
生態:
この線虫がマツの樹体内に入り込むと樹体内で猛烈に増殖します。アカマツやクロマツなどマツノザイセンチュウの寄生に対し抵抗性のないマツは針葉が赤く変色し枯死に至ります。マツノザイセンチュウ自身では別のマツに移動することはできませんので、羽化するマツノマダラカミキリに乗り移って別のマツに運んでもらいます。
体長2~3cmの小さなカミキリの体に数万頭のマツノザイセンチュウが乗り移ります。

●マツノマダラカミキリ
和名: マツノマダラカミキリ
学名: Monochamus alternatus HOPE
形態: 成虫は体長18-28mm、幼虫は老熟すると体長20-40mm
食樹: アカマツ・クロマツ他マツ類(外国産マツでも生育可!)
生態:
松枯れの原因となるマツノザイセンチュウの伝播者。羽化脱出した成虫はアカマツやクロマツの枝を餌とし、栄養を摂取(後食)します。この後食時にマツ枝にできた傷口からマツノマダラカミキリ虫体を離脱したマツノザイセンチュウが樹体内に侵入、増殖し、マツが枯損します。
マツノマダラカミキリ雌成虫は衰弱木にのみ産卵します。マツノマダラカミキリ自身はマツを枯損させる能力はありません。マツノザイセンチュウを運ぶ見返りにマツを枯らしてもらい、産卵場所を作ってもらっているといえます。
卵は1週間程度で孵化し、幼虫は樹皮下を食害して成長します。通常8月~10月にかけて、材内へ掘り進んで蛹室を作り、入り口に特徴的な長い木屑をつめて蛹室内で越冬します。翌年4月以降、越冬幼虫は蛹化、さらに羽化し、蛹室から横穴を掘り、樹皮に丸い穴をあけて脱出します。

幼虫(樹皮下) 幼虫(材内)
成虫(上:オス 下:メス) 脱出直後のメスと脱出孔 当年枝を後食するオス
 
脱出孔と穿入孔 産卵痕  

●マツノマダラカミキリ成虫の羽化脱出時期

濃い赤色の部分が羽化脱出の頭数が多い期間です。
羽化脱出した成虫からマツノザイセンチュウが離脱する期間を考慮すると8月中~下旬までの防除が必要です。
なお上記は各地域の羽化脱出時期の目安です。詳しくは森林病害虫防除を研究する各県の機関(試験場)など、または独立行政法人森林総合研究所にご確認ください。