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松くい虫防除について

松くい虫の防除には〔駆除〕〔予防〕があります。

〔 駆除 〕
枯死したマツの樹皮下や材内にいるマツノマダラカミキリの幼虫を駆除して5~7月に羽化脱出する成虫を少なくし、被害の発生を防ぐものです。 枯れたマツを伐倒し、薬剤散布,生物的防除,焼却,地中埋設,くん蒸,破砕処理(チップ化)などを行います。
〔 予防 〕
枯死したマツから羽化脱出したマツノマダラカミキリ成虫による被害拡大を防ぐために行うものです。 マツノザイセンチュウに感染していない健全なマツに、薬剤散布や樹幹注入を行います。

松くい虫(マツ材線虫病)の防除で忘れてならないのは、〔駆除〕と〔予防〕の両方を行うことです。 マツノマダラカミキリの発生源をそのままにしたままでは〔予防〕による防除効果も十分ではありません。
〔駆除〕と〔予防〕のそれぞれから方法を選択し組み合わせ、マツノマダラカミキリ,マツノザイセンチュウ,マツの三者の関係を断ち切ることが、松くい虫被害を最小限に食い止めるために最も重要です。


駆除の方法

【注意】直径2cm以上の枝にはマツノマダラカミキリ幼虫が多く生息していますので必ず駆除してください。

生物的防除(弊社取扱商品はこちら
天敵鳥類であるアカゲラや天敵昆虫であるオオコクヌスト,サビマダラオオホソカタムシなどが環境にやさしい新防除技術として検討されています。現在実用化されているものとして、マツノマダラカミキリに寄生する昆虫病原性糸状菌(ボーベリア菌)を有効成分とした新しいタイプの松くい虫駆除剤があります。ボーベリア菌を固定した不織布製剤にマツノマダラカミキリ成虫が接触することにより、優れた殺虫効果を発揮します。
伐倒,集材した枯損木に、マツノマダラカミキリの羽化脱出が始まる前に所定量の不織布製剤を設置し、ビニールシート等で被覆し、羽化脱出が終了するまで放置します。

【推奨薬剤】バイオリサ・マダラ(ボーベリア バシアーナ剤)
■適用病害虫と使用方法

作物名
まつ (枯損木)
適用病害虫名
マツノマダラカミキリ
使用方法 使用液量 使用時期
伐倒,集材した枯損木に
所定量の不織布製剤を
設置し、ビニールシート等
で被覆する
枯損木1m3当り
不織布製剤
2,500c㎡から10,000c㎡
成虫羽化脱出前
本剤の使用回数 ボーベリア バシアーナを含む農薬の総使用回数

※他に薬剤散布,焼却,地中埋設,くん蒸,破砕処理(チップ化)などの方法があります。

予防の方法

1)薬剤散布(弊社取扱商品はこちら
マツを枯らすマツノザイセンチュウを媒介するマツノマダラカミキリ成虫が枯死木から脱出する前に、あらかじめ守ろうとする健全なマツの樹冠部に殺虫剤を散布します。その後カミキリが羽化飛来し、殺虫剤を散布した枝を食べて死に至ります。
その結果マツノザイセンチュウがマツの樹体内に侵入することができず、マツ材線虫病からマツを守ることが出来ます。
散布時期は成虫が羽化脱出を始める5月下旬~6月上旬に1回、また薬剤の種類によっては、羽化脱出最盛期にもう1回の計2回の散布が一般的です(各地域の散布適期は関係機関にご確認ください)。 散布量は松枝から薬剤がしたたり落ちる程度です。
広い面積のマツ林には有人ヘリコプターによる空中散布、小面積であったり住宅や河川,海などに飛散する可能性がある場合には地上からの散布を行います。最近では無人ヘリコプターによる散布もできるようになりました。

【例】エコワン3フロアブル(チアクロプリド3%)
■適用病害虫と使用方法

作物名
まつ (生立木)
適用病害虫名
マツノマダラカミキリ成虫
使用方法 希釈倍数 使用液量 使用時期
無人ヘリコプター
による散布
20倍 3L/10a 成虫発生初期 及び
発生最盛期直前
空中散布 20倍 3L/10a
40倍 6L/10a
散  布 100~ 200倍 3L/本 (樹高10m) 成虫発生直前
又は発生初期
本剤の使用回数 チアクロプリドを含む農薬の総使用回数
3回以内 3回以内

動力噴霧器による地上散布 スパウターによる地上散布
空中散布 無人ヘリコプター

2)樹幹注入(弊社取扱商品はこちら
あらかじめ薬剤を健全なマツの幹に注入して全体に拡散させておきます。マツノザイセンチュウを媒介するマツノマダラカミキリがそのマツの枝を食べ、その傷口からマツノザイセンチュウが侵入しても、枝まで分散した薬剤によってマツノザイセンチュウを駆除し、感染を 防ぐことができます。
マツへの注入はマツノマダラカミキリ成虫が羽化する2~3ヶ月前までに行います。幹の下部に木工用ドリルで斜めに穴を開けて注入しますが、薬液が樹皮下の形成層へ漏れないよう注意が必要です。形成層に薬剤が触れますと、後に幹が胴割れする等の薬害が発生することもあります。マツの大きさによって薬量と穴の数を変えますが、その量や数は使用する薬剤の種類によって異なります。

【例】ショットワン・ツー液剤(エマメクチン安息香酸塩 2%)
■適用病害虫と使用方法

作物名
まつ (生立木)
適用病害虫名
マツノザイセンチュウ
使用方法 使用液量 使用時期
樹幹部に注入孔を開け、
注入器の先端を押し込み
樹幹注入する。
胸高直径(樹幹部)
・11~15cm … 60mL
・16~20cm … 60~120mL
・21~25cm … 120~180mL
・26~30cm … 180~240mL
  30cm以上は胸高直径が
  5cm増すごとに
  60~120mLを増量する。
マツノマダラカミキリ
成虫
発生2ヶ月前まで
本剤の使用回数 エマメクチン安息香酸塩を含む
農薬の総使用回数
1回 1回

樹幹注入剤の施工 ショットワン・ツー液剤注入中

【例】マツガード(ミルベメクチン 2%)
■適用病害虫と使用方法

作物名
まつ (生立木)
適用病害虫名
マツノザイセンチュウ
使用方法 使用液量 使用時期
樹幹注入 胸高直径(樹幹部)
・11~15cm…60mL
・15~20cm…60~120mL
・20~25cm…120~180mL
・25~30cm…180~240mL
  30cm以上は胸高直径が
  5cm増すごとに
  60mLを増量する。
マツノマダラカミキリ
成虫
発生2ヶ月前まで
本剤の使用回数 ミルベメクチンを含む
農薬の総使用回数
1回 1回

【参考資料】
・「松くい虫」の防除戦略 マツ材線虫病の機構と防除(森林被害対策シリーズ No.1)
 独立行政法人 森林総合研究所